Vol.173 [首長] 西川 将人 北海道旭川市長　「打ち込めるものを探して」

市長になったきっかけを教えてください。

子供の頃から政治には興味があり、社会人になってから国会議員を目指していた時期もありました。その後「生まれ育ったまちに恩返しをしたい」という思いが強くなり、旭川市長として市民生活に密着しながら地域の発展のために頑張っていくことを決意し、今に至っています。

市長の方針として、海外に通用する商品を旭川から売り出していきたいとのことですが、具体的にはどのように進めていくつもりですか？

旭川市は，農業をはじめ食品加工業や家具木工業などのものづくり産業が地域に根づいており、売り方や見せ方を工夫することで海外でもしっかり評価される商品や地場産品が数多くあります。
その代表格が旭川家具ですが，他にも例えば北海道の厳しい自然環境に磨かれた高度な北方建築技術をロシアのサハリン州への住宅輸出支援やモンゴルのウランバートル市におけるＪＩＣＡを通じた技術支援などを通じて，海外マーケットに売り出すことを模索しているところです。
また，旭川をはじめ北北海道は，新鮮な農産物や多様な食品など，豊かな「食」に恵まれた地域です。そうした強みを海外にも知ってもらえるよう，今年９月には北北海道地域の６市が連携し，本市が友好都市提携を結ぶユジノ・サハリンスク市において「道北物産展」を開催する予定です。初めての試みであり，様々なハードルも想定されますが，試行錯誤を繰り返しながら，今後の継続開催や物流ルートの開拓に繋げられるようにしっかりと取り組んでいきたいと思います。

新幹線の札幌への延伸などを見据え、札幌への観光客を旭川市など道北まで呼び込むための取り組みについてお聞かせください。

旭川市への誘客については，旭山動物園をはじめとする観光資源に磨きをかけるとともに，観光客の皆さんに魅力を感じてもらえる新たな観光スポットの掘り起こしや季節イベントの実施も必要と考えており，例えば平成２２年から秋に開催している「北の恵み　食べマルシェ」には市内外から毎回８０万人近くのお客様をお迎えしています。
また，旭川市のみならず周辺の観光地同士を結びつけ，点から面に転換した観光振興の取組も重要と考えております。そのため，現在，旭山動物園に続く観光スポットとして都心部で整備を進めている「あさひかわ北彩都ガーデン」についても，既に知名度のある本市の上野ファームや大雪山を囲む地域に散在する個性的なガーデンと効果的に連携しながら，国内外にＰＲしていきたいと思っています。
さらに、北海道らしい雄大な自然風景や夏の過ごしやすい気候，平坦な土地や盆地ならでは穏やかな風など，本市は体験型観光のひとつとして注目が集まるサイクリングの適地であり，今後の観光振興に資する強力なセールスポイントになるものと考えています。
そうした強みを生かすため，数年前から台湾を拠点とする世界有数の自転車メーカーとも連携し、サイクリング人気の高い台湾からのツアー誘致に取り組んでいるところであります。現在，台湾からは週４便の定期便が旭川空港に就航するなど，数多くの方に当地へお越しいただいておりますが，今後も国内外の様々なニーズを応えられるよう着実に取組を進めて，観光振興に取り組んでまいりたいと思います。

若者へのメッセージをお願いします。

学生の皆さんには，勉強やクラブ活動あるいはボランティアなど，何かひとつでも熱中して打ち込むことのできるものを見つけて欲しいと思います。そのことがきっと，学校を卒業する際の大きな達成感に繋がると思っています。
私も，大学生時代にはヨット部に所属し，年間１００日程度を港町の合宿所で仲間と共同生活を送っていました。勉強は二の次でしたので，先生から見れば決して優等生ではありませんでしたが，今でも大学生活を振り返ったときには胸を張り「ヨットをしていました！」と言えますし，先輩や後輩との間で育んだ友情は一生の財産と感じています。 皆さんにも、この瞬間を大切にして，一つでも二つでも打ち込めるものを見つけ，卒業まで充実した学校生活を送って欲しいと願っています。