ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.149 [首長] 石井 裕 千葉県南房総市長 「自分から壁にぶつかっていくような姿勢が必要」

市長

南房総市長 石井 裕

 

なぜ市長になられたのですか


大学を出てすぐに、衆議院議員の秘書として11年政治を直接見て学びました。その後千葉県議に立候補し当選しましたが、深刻に過疎化が進み若者が流出して、私の目にも衰退していくように見えたこの地域をなんとか良くしたいという気持ちから、県議8年目で市長選に出馬して当選しました。



合併後初の市長ということですが、どのようなことで苦労されましたか


首長の責任の重さを実感しています。特に前例のない市政運営なので、新しいことに挑戦していくという苦労はありましたが、県議のときに見つけたこの地域の課題をひとつずつ実現していこうという気持ちでやっています。
合併によるエリアごとの利害調整の必要や、「うちのところを特に優遇して欲しい」といった要望などは幸いにしてほとんど出てこないです。というのも、もともとこのあたりの地域は連帯感が強いからです。とにかく、地域間で偏りのない全体として均衡ある発展を目指したいです。



どのような市にしたいとお考えですか


市民がつねに創造力をはたらかせられる地域にしたいと考えています。自然が豊かなこの地域にいるからこそできること、そして手を伸ばせばやりたいことが叶うような市にしたいのです。市民の「南房総市でどう生きていきたいのか?どう暮らしていきたいのか?」という創造力を引き出していきたいです。



市の主な産業にはどういったものがありますか


主要産業は農林水産業でその次が観光業です。豊かな緑と海という農林水産資源があってはじめて観光業が成立しています。それらを支えていく人々の高齢化は確かに深刻ですが、農業に関しては年間10~20件ほど新規就農者の受け入れも行っています。国から経済的支援がありますが、市でも独自に支援策を実施して農業の衰退を食い止めようとしています。このあたりは耕作面積も狭いので、なかなか農業だけで食べていける方はいません。
また、ここは酪農の発祥の地でもあります。昔は牛を5頭飼っていれば家族みんなが食べていけました。しかし今は100頭飼っても赤字というように時代が変わりました。ですから、農地は単に世襲で受け継がれるのではなく、農地として使われなくなったら、国が買い上げて集約化に向けて整理すべきと考えています。やる気のある人に農業を営んでいただくための、抜本的な対策が必要です。
漁業に関しては流通を変えないと成り立ちません。漁師が直接消費者に販売するようなネットワークが必要だと考えています。



市民の声は市政に届いていますか


南房総は人口4万人です。私見ですが、おそらく10万人以下の市ですと、ある程度は全体に目が行き届きます。市内には117の行政区がありますが、あの辺りにはどんな人たちが住んでいるのか、というのがだいたい把握できていますね。市民の生の声を聞いてその中で要望を汲み取り、できないことは話し合える、市民と首長がお互いに近い関係にあると思います。



若者へのメッセージ


絶えず何事においても疑問や関心をもってほしいです。今の若者は就職難などの問題もあって大変だと思いますが、とにかくあきらめずにもっと自分から壁にぶつかっていくような姿勢が必要だと思います。そして疑問に思ったことは探究して勉強して、それを深めてていってほしいです。社会には正解があることの方が少なく、答えは用意されていないので、壁にぶつかりながら自分で考えて行動して、答えを探していってほしいです。



(インタビュー:2013-06-21)


衆議院議員秘書から県議会議員2期7年
平成18年4月南房総市長1期目当選
県国土調査推進協議会長、県草地協会長、安房農林業振興協議会長など(2010年4月)
※プロフィールはインタビュー時のものです。

関連記事
  • Vol.243 [首長] 木幡浩 福島県福島市長 「若者が行き交う県都福島へ」JAPAN PRODUCER INTERVIEW

    ジャパンプロデューサーインタビュー

  • 橋川市長プロフィール用
    Vol.242 [首長] 橋川渉 滋賀県草津市長 「誰もが健幸に暮らせるまちを」

    ジャパンプロデューサーインタビュー

  • 山本市長プロフィール用
    Vol.241 [首長] 山本景 大阪府交野市長 「財政再建から持続可能な住宅都市へ。元証券マンの挑戦」

    ジャパンプロデューサーインタビュー