ジャパンプロデューサーインタビュー
Vol.086 [首長] 大木 さとる 大和市長 「自分の人生は自分が主役。思いっきり自分の人生を生きてください!」
市長
大和市長 大木 さとる
所属 大和市長
選挙区 神奈川県大和市
公式サイト
市長に就任した経緯を教えてください。
市長になったのは、自然の流れと言ってよいかもしれません。以前は神奈川県の県議会議員でしたが「別の選挙区である大和市長に出馬して見ませんか」という話が持ち上がりました。3期務めた議員から、選挙区の違う首長への挑戦でした。こうした転身はとても珍しいそうです。
市長選への出馬にあたっては、周囲の人たちに反対され、無謀なことだと言われたこともありました。
しかし私自身、この大和市で市長をやらなければならないという、天命のようなものを感じました。そこで出馬に踏み切り、当選することができました。
市長になってストレスを感じることはありますか。
ストレスはあまり感じたことはありません。大都市近郊にある人口23万人の自治体を運営するという、こんなに働きがいがある仕事は私にとってほかにはないと思うからです。
また、私自身ストレスに強いといえるかもしれません。東京の下町で生まれ育ちましたが、8歳のときに親元を離れ、静岡県にある全寮制養護学校に入りました。そこでの3年間で、肉体的にも精神的にも鍛えられました。8畳間の6人部屋で、毎朝5時半に起床し、夏なら冷水摩擦、冬なら乾布摩擦をしてから掃除、朝食、授業に入るという生活を過ごしました。子どもの頃にこうした経験をしたことで、ちょっとやそっとのことではへこたれなくなりました。
市長になってやりがいとは何ですか。
市を運営することに毎日やりがいを感じていますが、市民の皆さんに感謝されたときほどやりがいを感じたことはありません。
たとえば、私は東日本大震災の発生直後から、被災された方を市内に受け入れる制度を設けてきましたが、福島県から移り住まわれたご家族が、訪ねて来られたときの話がとても印象に残っています。
そのとき、お母様は涙を流しながら、「子どもは福島県より大和市に住んでいる期間の方が長くなりましたが、安心して暮らすことができて本当に感謝しています」とお礼の言葉を述べられました。受け入れ制度をつくるという判断をして、本当によかったと感じました。市長としての判断により人を助けることができたということもありますが、それ以上に、被災された方から勇気をいただいたと強く感じました。
大和市の特徴を教えてください。
自治体を分かりやすく例えると、横浜市や大阪市といった大都市は「百貨店・デパート」、有名な観光地のある神奈川県鎌倉市や静岡県熱海市は「専門店」と呼ぶことができるかもしれません。では、大和市はどうかと考えたとき、私は「コンビニエンスストア」のような自治体だと思っています。
たとえば大和市には、厚木航空基地があります。関東において米軍の軍用飛行場のある自治体はそう多くありません。また、約70カ国もの方が暮らす国際色豊かな市でもあります。さらに、市内には鉄道3線の8駅があり、新宿や渋谷、横浜まで1時間以内で行くことができます。まさに大和市は、狭い市域に何でもそろっている、コンビニエンスストアのような自治体なのです。
ただ、何でもある一方で、様々な問題が生じているのも大和市の特徴です。基地を抱える自治体として向き合わなければならない問題や、人種・生活の違いから来る問題など、取り組むべき課題は多くあります。
市長の大学時代について教えてください。
私は人生の中でいろいろと遠回りをしており、サラリーマンを経て歯科医になろうと2つ目の大学に入学したのは28歳のときでした。10歳も年下の学生たちと一緒に学びましたが、最初の大学に入ったときよりも勉強に集中できました。遠回りしたことによって数多くの価値観の違う人たちに触れることもできたと、今になってしみじみ思います。
最後に若者へのメッセージをいただけますか。
2つのことをお伝えしたいと思います。
1つ目は、迷ったら攻めろということです。戦国時代の合戦では守ったら負ける場合が多くありました。なぜかといえば、攻める、拡大するということは自然の法則に則っているからです。実際、宇宙は拡大し続けています。一方で、守るというのは固定や縮小を意味します。
2つ目は、人生は手元にあるカードをどう使うかのゲームであるということです。皆さんには、生まれた時に様々なカードが配られています。イケメン、背が高い、勉強ができるという素晴らしいカードをもらった人もいるかもしれません。逆に、こうしたカードを持っていない人もいるかもしれません。しかし、それは仕方がないことです。だから諦らめろというのではなく、現在手元にあるカードを使って人生を切り開いていくことが大切です。これが人生の醍醐味です。自分の持っているカードを見極めながら的確に使い、自分が主役の人生を思いっきり生きてほしいと思います。
昭和23年生まれ
青山学院大学経済学部卒。サラリーマン生活を経て、鶴見大学歯学部に入学、卒業。
勤務医を経て、歯科医院を開設。
平成7年の統一地方選挙において、新進党より神奈川県議会議員選挙に立候補し、初当選。2期目の選挙では、民主党より立候補し当選。平成15年、3期目当選。
平成19年、大和市長選挙に立候補し当選。第14代大和市長に就任。
平成23年、2期目の選挙に立候補し当選。第15代大和市長に就任。現在に至る。