ジャパンプロデューサーインタビュー
Vol.225 [首長] 秋元 克広 北海道札幌市長 「魅力を維持するうえで大事なこと」
〝魅力を維持するうえで大事なこと〟
札幌市長 秋元克広
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.225
日本最北端の政令指定都市である
北海道札幌市。
札幌市時計台をはじめとした観光スポットや
さっぽろ雪まつりなどのイベントなど
国内外問わず人気のある都市です!
そんな札幌市の魅力と
魅力を維持する上で大事に考えていることを
秋元克広市長にお聞きしました!
< スピード感をもって次の時代への変革を >
ーそれではまず秋元市長が市長を志したきっかけを教えてください!
秋元市長:
私は札幌市の職員として35年間働いてきました。実は、もともと行政に興味があったというわけではなく、大学4年生までは民間企業への就職を希望していました。民間の就職試験を受ける前の腕試しのつもりで公務員試験を受けた際に批判的なことを言って面接で随分怒られ、「絶対に落ちたな」と思っていたのですが、最終的には合格通知をいただきました。それが自分のまち・札幌のまちづくりについて考える一つのきっかけになり、行政に携わることとなりました。
そして、ちょうど私が副市長を務めていた時に、3期12年務めた現職の市長が次は出馬しないということになりました。当時の札幌市は、特に生産年齢人口が減少期に入ってきて、これまで大きくなってきた街を、今後持続可能な街にしていくためにどうしていくか、という大きな転換期を迎えている状況でした。このような中で、どなたが市長になっても、まず札幌のことを知るために時間がかかるだろうと思い、これまで市政に携わってきた自分が市長を務めることで、市政について勉強する時間を省略し、次の時代に変革をしていくスピードを速めることができると考え、市長に立候補しました。
ー「次の時代に変革をしていくスピードを…」とありましたが、その変革はどのようなものでしょうか?
秋元市長:
札幌は人口増加によって大きくなった街で、内需型の産業構造で支えられてきました。人口減少期に入ってくると、人口の増加によって経済が大きくなることはありませんので、人口減少期に入っても街を持続させていく・生活を安定させていくためには、いかに外からお金を稼いでくるか、いかに魅力を発信し続けるかということを考えなくてはいけません。私は、若い人たちが自分たちの街に愛着を持って住み続け、持続可能なまちとするためには、産業的・経済的な基盤が一番重要だと考えます。
1972年、札幌が政令指定都市になり、また冬のオリンピックが開催されたということがあり、地下鉄等の社会基盤が出来ましたが、それから40年、50年と経って、街をリニューアルしていく必要性がでてきたところです。
このリニューアルにあたっては、若い人たちが地元で働き続けられるよう、経済的観点を重視しなければいけません。市長の仕事は「都市経営」です。いかに、住民のサービス・要望・ニーズを安価に提供することができるのか、ということが、行政・市役所の役目の大きな一つだと思っています。
そういう意味で、この転換期にあって経済的な基盤を地域としてどう作っていくか、ということが一番の政策の柱だと考えています。
< まずは経済基盤の安定 >
ー秋元市長の考える札幌市の魅力を教えてください!
秋元市長:
札幌市は面積が広いですが非常にコンパクトで移動がしやすく、利便性の高い都市でありながらすぐ近くに豊かな自然があり生活しやすいところが魅力です。仕事が終わってから車で20分、30分でスキーが楽しめ、夏はキャンプが楽しめるという、自然と調和した住みやすい都市です。
また、色々な人が来ても拒否しない、寛容性・多様性のあるまちであり、文化的な要素もある、バランスのとれたまちだと考えています。
ー魅力を維持するための具体的な政策などは何かありますか?
秋元市長:
まちの魅力を維持するためには経済基盤を安定させることが重要であり、そのためには、現在札幌市内にある企業を大きくして雇用を増やすか、新たな企業を誘致するか、スタートアップの企業をつくっていくか、という3つの手段があると考えています。
そのため現在、既存の企業への支援はもちろん、スタートアップにも力を入れています。
札幌・北海道出身の人でなくても、札幌で新しいことに色々チャレンジできる、そういう環境づくりをすることで、起業する若い人たちが集まってくる街にしたいと考えています。
また、今年は大変な大雪で、移動が大変なときもあったのですが、昨今の気候変動問題の中で、北国に住んでいる私たちは、目に見えて環境問題を意識できると思っています。札幌の素晴らしい自然環境を守っていくためにも、日本の国内で最先端となるように環境対策に力を入れ、世界に発信していきたいと考えます。
こういったことを通じて、多くの方々に魅力ある都市だと思っていただき、札幌に訪れたい、住みたい、投資したいと思っていただけるかたちを目指していきたいと思います。
ースタートアップや起業に対して力を入れているということでしたが、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
秋元市長:
起業するにあたっては、様々な着眼点やアイデアだけでなく、ビジネスとして成り立たせるためのサポート体制が必要となってきます。このため、色々な企業からのお金を集めてファンドをつくるとともに、実現性のあるスタートアップをフォローしていく仕組みをつくりました。この取組はもちろん行政だけではできません。行政も一つのメンバーとして、企業の人たちと一緒に、スタートアップの企業を育てています。
ー若者が政策立案コンテストに臨むうえでのアドバイスをください!
秋元市長:
是非2つのことを考えていただきたいと思います。
1つ目は「自身の強みは何か」ということです。例えば街であれば何が良いところで伸ばすべきところは何なのか、一方で、何が弱いところで課題は何かということです。「己を知る」ということですが、冷静に自分を分析する必要があると思います。
2つ目は「周りの情勢を見る」ということです。現代はまさにグローバルな時代なので、世界的に俯瞰してみたときに自分たちがどういう状況であるのか、自分の足元と全体を俯瞰した目線、それら両方を中長期的な目を持ちながらきちんと分析して、望むべき方向性を定め、より良いものに組み立てていただきたいと考えています。
(インタビュー:2022-03-23)
プロフィール
■生年月日 昭和31年2月2日
■略歴
昭和54年 札幌市役所入庁
平成16年 企画調整局情報化推進部長
平成17年 市民まちづくり局企画部長
平成20年 南区長
平成21年 市長政策室長
平成24年 副市長
平成26年 札幌市役所退職
平成27年 札幌市長選挙で当選(任期5月2日から)
平成31年(令和元年)再選(現在2期目)
※プロフィールはインタビュー時のものです。
2022年3月23日 zoomにて
(左:秋元市長 右・下:ドットジェイピースタッフ)