ジャパンプロデューサーインタビュー
Vol.214 [首長] 佐竹 敬久 秋田県知事 「時代に適応させる考え方と不変的な考え方」
〝時代に適応させる考え方と不変的な考え方〟
秋田県知事 佐竹敬久
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.214
自然が豊かでエネルギー資源が多く、食料自給率の高い秋田県。
その秋田県をよりよいものにするための取り組みを
佐竹知事にお聞きしました!
< 時代に合わせた考え方を >
ー佐竹知事が考える理想の秋田県について教えてください。
佐竹知事:
近年では、二酸化炭素の排出や資源の枯渇など環境問題が注目されていますが、その課題を解決するような再生可能エネルギーと広大な農地を秋田県では保持しています。再生可能エネルギーを用いることで環境にやさしい電力の供給が可能になり、森林で二酸化炭素を吸収することでより環境に対する負荷がすくないような暮らしができるようになったり、農地を生かすことで食料自給率を高めることが可能になります。また、防災安全スコアが一番高い県と言われており、今後首都直下型地震が起きると予想されていますが、そのようなことが起きたとしてもカバーする力があります。
そして、芸術文化や郷土芸能など文化的な面でも昔ながらの伝統が残る地域なので、教養と文化にあふれた「高質な田舎」を目指して今まで取り組んできましたし、これからも理想に向けて日々励んでいきたいと思います。
ー理想の秋田県を目指すに至った原点について教えてください。
佐竹知事:
私は、大学の専攻が航空工学でした。一般企業に就職したものの親の関係で一年で仕事をやめ、秋田に帰り県庁の職員として働きました。職員として働いている際に、他県と比較し秋田県にはいいものが沢山あるが、自分が住んでいる秋田県のいいところに気づいていない、そして、生かそうとしていないということを感じました。同時に、可能性が沢山秘められているのにもかかわらず、そのままにしておくことは勿体ないと。
そこで、秋田市長を二期務め、県民の皆さんに自信を持ってもらいたい、いい秋田県が日本の中で埋もれてしまわないようにしたいという思いから、秋田県知事として務めたいという想いが強く芽生えました。
また、江戸時代に自分の先祖が治めていた土地ということもあり、よい土地・産業を築いてくれたのだからその思いを受け継ぎたいと思ったことも知事になろうと考えた理由の一つです。
< 次世代を担う人を集めるために >
ー県外の方や秋田を離れようと考えている人に対してどのような取り組みをされていますか?
佐竹知事:
少子高齢化が進んだことで、ご高齢の方の発言力が高まってしまい、若者や女性の活躍の場が少ないということが問題の一つだと考えています。そんな中、災害が少ないことや、再生可能エネルギーを用いることでカーボンフリーの製品をつくることが可能であるという理由から、若者や女性が活躍するような機会を設けている企業が、どんどん秋田県に入ってきています。
先日、若い方の発想でeスポーツと高齢者のリハビリテーションをかけ合わせた取り組みが行われ、十分な効果を発揮するということで賞をもらったり、ジェラートを販売した方がすでに二号店を出店していたりと若者の活躍が目覚ましいです。また、女性の視点から得られる新たな発想や、見えてくるものがあると思います。例えば、ブルドーザーのリモコン操作を女性が行っていたり、航空機のエンジンを作っていたり、観光に女性の意見を取り入れたりしています。さらに、県外出身の方が、風土や文化の違いから意外な発想を思いついたり、そういう方と触れ合うことでもともと秋田に住んでいた人からもこれまでになかった発想が生まれてくると考えています。
今後は、より若者や女性、県外の人の意見を取り入れることで時代に即した産業形態を作り、支援していきたいと考えています。
< 表面だけにとらわれない不変的な考え方を >
ー弊団体の政策立案コンテストに参加する若者へのメッセージをお願いします。
佐竹知事:
昨今SNSが普及したため、自分が分からないことを調べれば知ることができる世の中になりました。しかし、SNSの情報は表面しかとらえることができなかったり、内容が十分に理解できなかったりということが考えられます。ですから、何事にも深堀をするということを重要視してほしいと思っています。経緯がわからなければ、失敗することも多々あります。「どうしてこのようなことが起きているのか」「こうするためにはどうしたらよいのか」といった表面だけでは見えてこなかった中身(内容)を考えるという不変的な考え方を意識していただきたいと思います。
(インタビュー:2022-03-25)
プロフィール
■生年月日 昭和22年11月15日
■略歴
昭和41年 3月 秋田県立角館高等学校 卒業
昭和46年 3月 東北大学工学部精密工学科 卒業
昭和47年 3月 秋田県庁入庁
平成 9年12月 地方経済研究会 設立
平成13年 7月 秋田市長選挙 初当選
平成19年 6月 全国市長会会長就任
平成19年 7月 地方制度調査会委員就任
平成21年 4月 秋田県知事 初当選(現在4期目)
※プロフィールはインタビュー時のものです。
2022年3月25日 zoomにて
(左:佐竹知事 右・下:ドットジェイピースタッフ)